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河合政之

2013/09/07[土] - 2013/09/29[日]
Reception; 2013/09/07[土]
MORI YU GALLERY TOKYO

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機材協力:ベンキュージャパン株式会社

ライブパーフォーマンス
9月13日(金)20:00〜
河合政之with 浜崎亮太

ヴィデオフィードバックとは、アナログなヴィデオ機材を使って閉回路を作り出し、信号やノイズを暴走させて電子的なフィードバックを起こすというものである。
あらかじめ用意された画像は一切なく、無限循環するノイズが偶然に生み出す抽象的なパターンだけを使用する。
アナログなヴィデオのフィードバックは、さまざまな機材の状態や環境の影響をダイレクトに反映して、常に予測やコントロールを超えて変化し、無限に豊かなイメージをおのずから生成していく。
河合はその暴走する電子の奔流に巻き込まれながら機材を操作して、完全にはコントロール不可能なパターンを即興的に変化させていく。

それは、電子的に見るメディア=ヴィデオの構造体的な原理そのものを、表象を介することなく可視化することである。
こうして私たちはイメージ以前、電子的に波打ちながら反復するデータの流れを目のあたりにする。
私たちを映す電子の鏡であるヴィデオ映像は、閉回路によってデータの合せ鏡となり、そこにメディアそのものの像を映し出す。

私たちはこの映像の渦に徐々に巻き込まれそうになりながら、時折似たようなイメージがふっと立ち現れては消えていくのに気付くだろう。ヴィデオフィードバックからあらわれる多様なイメージやサウンドは、単なる無名のノイズではない。それは河合にとってはときにモダン、コンテンポラリー・アート、あるいはロックミュージック、とくに河合が影響を受けたロックギタリストの歴史の記憶とつながっている。
たとえば、映像機材の組み合わせとその変調によってオリジナルなイメージを生み出す方法は、ヴィデオアートの始祖ナム=ジュン・パイクのスピリットによって貫かれている。また映像機材の山とケーブルの束やカラフルなイメージは、田中敦子の電気服やそれから派生するペインティングに通じているようにも感じられる。実際昨年に東京都現代美術館にて行われた田中敦子展の会場にて河合がライブパフォーマンスをおこなったことは記憶に新しい。
また機材の一見偶然的な組み合わせは、独特のイメージやサウンドのパターンを生み出し、それぞれが河合が影響されたり、あるいは関連を見出したアーティストの名前によって呼ばれている。ある機材の組み合わせは「ロスコ」と名付けられ、そこから生み出されたイメージは、出現しては消え、また新しく立ち上がってくる。まさに茫洋とした海原において寄せてはかえす波のごとくマーク・ロスコの絵画が千変万化するかのようである。
また別の機材たちにはロック史上の3大ギタリストの名前(「ジミー」など)がつけられているなど、紡ぎ出されたイメージとサウンド上でアートとロックが綯い交ぜとなる。アートとロックの歴史は、河合によりオリジナルでもコピーでもない要素として、縦糸と横糸のように時間軸にそれぞれ織り込まれる。アートとロックによりできたその「生地」は、ときに河合によって仕立てられ映像作品化される。また機を織って「生地」をつくる瞬間、つまりシステムを用いて映像信号をそのまま音声化し、シンクロするイメージとサウンドを作り出す瞬間は、ライヴパフォーマンスとしてあらわれる。

ヴィデオフィードバックによって、無から紡ぎ出されたはずのイメージが、いつしかアートとロックの記憶とともに染められ、織られながら完成していく河合の映像美を是非御高覧ください。