DARK SCIENCE -《conti/nuit/é》-

2016/03/26[土] - 2016/04/17[日]
Reception; 2016/03/26[土] 2016/3/26[土]18:00-20:00
MORI YU GALLERY KYOTO

DARK SCIENCE -《conti/nuit/é》- : �ʐ^1

ジャン=リュック・ヴィルムート
黒田アキ 近藤髙弘 藤原康博
河合政之 アレクサンドル・モベール 設楽恵里

Dark science -《continuité》-

ジャン=リュック•ヴィルムートがMORI YU GALLERY京都にて個展を開催したのは2011年のことである。ジャン=リュックとは10日間程の滞在の間に本当に様々なことを話した。作品について、彼が参加したヴェネチア・ビエンナーレ、ドクメンタについて、以前いたギャラリーについて。常に優しく、チャーミングな語り口。だがいざインスタレーションのことになるとそこに明快さと冷静さが加わるのだった。どうしてロンドンに行ったのですか?と聞くと彼は、トニー・クラッグが呼んでくれたんだと答えた。ロンドンの時間は意義のある時間だったよと鴨川が見えるカフェで語っていたことを思い出す。

5年前のギャラリーでの展示は、時間をテーマにしたものであった。彼のパフォーマンスもまた興味深いものであった。昨年はパラソフィア(『カフェ・リトルボーイ』を展示)と同時期に、彼を含めたグループ展「記憶の焼結」(五条坂京焼登り窯[旧藤平])を企画した。彼は『DARK SCIENCE』を発表してくれた。当初、音楽の強弱に電球の強弱が同期し、それをコンピューター制御する作品の提案だった。しかし私はデジタル制御での展示ではなく、アナログでの制御ができるのではないかと申し出た。アナログとデジタルでは光の感じが違い、使われている音楽ビリー・ホリデーの歌う「gloomy sunday」にも微妙に同期する感覚はアナログでの制御しか不可能であり、ジャン=リュックの作品にはアナログしか考えられなかった。ジャンリュック本人にとってはもちろんそれがベストだが、技術的にとても難しいのではないか?とコスト面も考えてくれたのであろう、我々を気遣うメールをくれた。私は無理かもしれないが心当たりがあるので待ってくれないかと打診した。同じ展覧会に出品するアーティスト河合政之の親友のエンジニアRyo ASA氏を紹介してもらった。彼はとても苦労したようだが、最終的に完璧なアナログ機械を完成させてくれた。来日したジャンリュックがいつも以上の笑顔で親指を上げてperfectといってくれたことはうれしかった。「gloomy sunday」、3分9秒のこの曲が終わり、5秒間真っ暗な時間を経た後にまた時間の連続と5秒の断絶が永遠に繰り返される光と音。素晴らしいインスタレーションであった。

そんなジャンリュックの悲報を聞いたのは彼を私に紹介してくれた黒田アキ氏からであった。昨年11月、黒田アキ、河合政之とともにパリで食事をしながら、ジャンリュックは、登り窯での展覧会は非常に良かったと話してくれた。彼が来年の秋に私のギャラリーで久々の展覧会を決めた直後のことであった。

今回のジャン=リュック・ヴィルムートへの追悼展では、昨年企画した「記憶の焼結」展に彼が出品してくれた作品を展覧する。

森裕一
MORI YU GALLERY